自然栽培や有機が美味しい(傾向?にある)わけ Vol.2

自然栽培や有機が美味しい(傾向?にある)わけ

 

もう一つは細胞の形成速度。

 

例えばパン。

発酵させるためのイーストを多く入れると、当然早く大きく膨らみます。

(当店ではイーストは使用していませんが、例えとして分かりやすくイーストにしてます)

効率を優先させてイーストを多く配合し温度の高い場所で発酵させると細胞が粗くなり、

食感の悪い日持ちのしないパンが出来上がります。

またイーストの匂いも残り、素材の良さが残りません。

 

逆に少ないイーストで長時間・低温で発酵させるようなパン(バゲットやカンパーニュなど)は

細胞の引き締まった、小麦の香りの残る日持ちするパンになります。

 

私たちの目には見えない畑の中で起こっていることも、このパンと同じ“発酵”です。

 

色素の形成が追い付かずちゃんと本来の色が出ていない野菜。

細胞が粗いため水分を保持できず、中身がスカスカの野菜。

 

化学肥料で無理に成長させられた野菜は細胞や組織を維持できない、

いわゆる美味しくない上辺の形だけの野菜が出来上がります。

(もちろん、肥料を使用するポイントをうまくコントロールして、

美味しい野菜を作る生産者もたくさんいます)

 

 

人間も自分の好きなことは誰に言われるでもなく自分で勉強して、なかなか忘れません。

学校のテストなど、興味のないことを一夜漬けで勉強してもすぐに忘れてしまいます。

 

人間の脳細胞の形成と同じように、野菜も自分にとって必要な栄養を自分で選び、

好きなときに摂って、好きな時に成長に使う。

 

そんな野菜が美味しくなるんだと思います。

野菜を一括りで考え、窒素・リン酸・カリウムの量がどうこうで味が出来るわけではありません。

 

当たり前ですが、植物や微生物それぞれが住みやすい環境や、必要な栄養素は違います。

またそれぞれが出来る仕事や、生み出せるもの・栄養素なども違います。

 

重要なのは、

土の中が様々な植物や微生物が共存する、

多様性に満ちた環境であること。

食物連鎖がちゃんと機能している、

生き物が循環できる環境であることです。

 

あるものにとっては邪魔な存在でも、あるものにとっては必要な存在であり、

本来は邪魔なものなどはいません。

「この虫が邪魔だから農薬で全部殺しましょう」などとやっていると、

その虫を必要としている生き物や植物がいなくなり、どんどん多様性が失われます。

 

 

一概に、「有機だからいい」とか「有機だから美味しい」とは言えませんが、

わざわざ有機認証や自然栽培といったやり方をセレクトしている生産者は、

ほとんどの方が美味しさや安全性の追及からきています。

農業が一つの考えを持つ人間が行うものである以上、その考えは必ず味に反映されます。

よって、自然栽培や有機の野菜は美味しい(傾向)にあると考えています。